古物商の「台帳記録義務」完全ガイド

古物商としてビジネスを営む上で、避けて通れないのが「古物台帳への記録義務」です。

2026年現在、リユース市場の拡大とデジタル取引の一般化に伴い、警察による立ち入り調査やコンプライアンスのチェックはかつてないほど厳格化しています。「知らなかった」では済まされない記録義務について、行政書士の視点から、初心者にも分かりやすく、かつ実務に即した形で解説します。

 

1. なぜ古物商には「記録義務」があるのか?

古物営業法が定める記録義務の目的は、大きく分けて2つあります。

  1. 盗品の流通防止(抑止力):誰から何を買い取ったかを記録させることで、盗品を換金しにくい環境を作ります。

  2. 盗品の早期発見(捜査協力):万が一盗品が流通してしまった際、台帳を辿ることで被害品の回復を迅速に行えるようにします。

現在、オンラインでの匿名取引が増加しているため、この「記録」の正確性が、善良な事業者を犯罪から守る盾となります。

 

2. 記録しなければならない「古物」と「取引」の基準

すべての取引を記録する必要があるわけではありませんが、品目や金額によってルールが異なります。

2.1 買い受け(仕入れ)時の記録義務

原則として、どのような古物であっても、買い受ける際は記録が必要です。 ただし、対価の総額が1万円未満の場合は、一部の例外を除き記録義務が免除されます。

ただし、例外が存在します。 【注意!】1万円未満でも必ず記録が必要な品目 以下の品目は、金額に関わらず1円から記録義務が生じます。

  • 自動二輪車(バイク)、原動機付自転車(パーツ含む)

  • 書籍

  • ゲームソフト、DVD、CD、ブルーレイ等

  • 自動車の部品(タイヤ、ホイール、カーナビ等)

  • エアコンの室外機

  • 電気温水機器のヒートポンプ

  • 電線(銅線・アルミ線など)

2.2 払い出し(売却)時の記録義務

売却時の記録義務は、買い受け時よりも限定的です。基本的には以下の品目を1万円以上で売却した場合に記録が必要となります。

  • 美術品類

  • 時計・宝飾品類

  • 自動車(本体)

  • 自動二輪車・原動機付自転車

※実務的には、トレーサビリティ(追跡可能性)確保のため、金額に関わらずすべての売却記録をデジタル管理することが業界標準となっているようです。

 

3. 古物台帳に記載すべき「5つの必須項目」

記載事項は以下の5点です。

  1. 取引の年月日:実際に取引が行われた日付。

  2. 古物の品目・特徴:単に「時計」ではなく「ロレックス デイトジャスト 型番〇〇 シリアルNo.〇〇」のように、個体を識別できる情報を記載します。

  3. 古物の数量:個数、重さ(貴金属などの場合)など。

  4. 相手方の住所・氏名・職業・年齢:本人確認書類に基づいた正確な情報。

  5. 本人確認の方法:運転免許証、マイナンバーカード(eKYC対応)など、どのような方法で確認したか。

デジタル台帳管理

かつては紙の台帳が主流でしたが、現在はデジタル台帳が一般的です。

エクセルで一覧表にしたり、専用ソフトにて管理すると後日の取引確認も用意になります。  

4. 本人確認(身分確認)の厳格なルール

記録義務とセットになるのが「本人確認」です。なりすましや不正利用を防ぐため、確認方法は厳格化されています。

対面取引の場合

  • 運転免許証・マイナンバーカード等の原本提示を受け、記載内容を台帳に転記します。

確認事項は「住所」「氏名」「職業」「年齢」です。職業は運転免許証などからは判断できないため、直接聞き取りましょう。また、マイナンバー番号を書き写したりコピーを取る行為は法律で禁止されていますので、注意しましょう。

非対面取引(宅配買取・オンライン買取)の場合

非対面での本人確認は、以下のいずれかの方法で行う必要があります。

  1. 印鑑登録証明書を用いる方法。

  2. 本人限定受取郵便を用いる方法。

  3.  住民票の写し等を用いる方法。

  4. 身分証明書等を用いる方法

  5. ソフトウェアを用いる方法

  6. 電子署名や電子証明書を用いる方法

NG例: 身分証のコピーを同梱してもらうだけでは、現在の法令では不十分なケースが多い(住所確認のための書留郵便送付が必要など)ため、注意が必要です。

 

5. 個人情報保護法との兼ね合い

古物商が収集する台帳情報は、極めて機微な個人情報です。

  1. 利用目的の明示:買取時に「古物営業法に基づく義務履行および本人確認のため」と利用目的を伝える必要があります。

  2. 安全管理措置:デジタル台帳の場合、アクセス権限の管理や暗号化が必須です。

  3. 保存期間:古物台帳は最終記載日から3年間の保存義務があります。保存期間を過ぎた後は、適切な方法(シュレッダーや確実なデータ消去)で廃棄しなければなりません。

 

6. 貴金属を取り扱う場合の「犯罪収益移転防止法」

金、銀、プラチナなどの貴金属や、それらを用いた宝飾品を取り扱う場合、古物営業法だけでなく「犯罪収益移転防止法(犯収法)」の対象となります。

  • 200万円を超える現金取引:より厳格な本人確認と、取引記録の保存、疑わしい取引の届け出が義務付けられています。

  • マネーロンダリング(資金洗浄)対策として、貴金属買取時のチェックリスト作成や社内規定の整備が、警察や金融庁による指導対象となっています。

 

7. 義務を怠った場合の「重すぎる罰則」

記録義務の違反や虚偽記載、台帳の紛失には厳しい罰則が科せられます。

  • 罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。

  • 行政処分:営業停止処分や、最悪の場合は古物商許可の取消しとなります。

一度許可を取消されると、5年間は再取得が不可能になります。これはビジネスの死を意味します。また、立ち入り調査時に台帳が不備だらけであれば、警察からの信頼を失い、頻繁にチェックを受ける対象となってしまいます。

 

 

 

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